輪廻転生

ふとしたきっかけで、夫と輪廻転生の話をすることになった。

 

「あんた来世信じてんのか!」と夫はうるさい。

 

輪廻転生に対しては、宗教として深い信仰を持っているわけではないが、何となく文化的に、「生まれ変わったら○○になりたい」とか、「あいつの前世は虫だった」とかいう言い回しは普通に存在するくらいには、思想が根付いているのだ、と説明したが、

 

「だったら俺はキリスト教徒で、1回死んだら死んだままなのに、お前は生まれ変わって別の男と結婚するのか!」と聞く。

 

「まあそうなるわな。」と答えたところ、

なんてひどいやつだ、とご立腹であった。

知らんし。

 

しかも後日、「妻に虐げられてかわいそうな自分」を演出するために、夫の両親の前で、嬉々としてこのエピソードを披露した。話を聞いた舅は笑っていたが、姑(修道院に泊まりに行くくらいは敬虔なカトリック)が突然、

 

「私だって輪廻転生を信じるわよ!」と発言した。

 

驚いた夫が

 

「じゃあ母さんは、来世でまた父さんと結婚したいの?」と聞くと、

 

姑は力強く、

「お父さんじゃない人と結婚するわ!!」と言い放った。

 

夫がバカなせいで、義理の両親の間にいらぬ波風が立った。

私は悪くない。